フィンランド語独習ノート15ページ目 月の名前
まだ動詞の人称変化が全部終わっていないんですが、今回はちょっと別の話題を。
Tom of Finland こと本名 Touko Valio Laaksonen 氏ですが、Touko という名前は、5月生まれのため、フィンランド語の5月(toukokuu)に因んで付けられたというエピソードがあるそうです。
フィンランドの男性名としてはそれほど珍しいものでもないようですが、「種」という意味があって、種蒔きをする季節だから toukokuu というわけですね。
そんなわけで、今回はフィンランド語の月の名前を見ていきたいと思います。
日本語 | Suomi | English | Deutsch |
1月(睦月) | tammikuu | January | Januar |
2月(如月) | helmikuu | February | Februar |
3月(弥生) | maaliskuu | March | März |
4月(卯月) | huhtikuu | April | April |
5月(皐月) | toukokuu | May | Mai |
6月(水無月) | kesäkuu | June | Juni |
7月(文月) | heinäkuu | July | Juli |
8月(葉月) | elokuu | August | August |
9月(長月) | syyskuu | September | September |
10月(神無月) | lokakuu | October | Oktober |
11月(霜月) | marraskuu | November | November |
12月(師走) | joulukuu | December | Dezember |
語頭が小文字なのは書き間違いではありません。
英語やドイツ語と違って大文字で書き始めないんですね。
英語とドイツ語は同族なんでほぼ同じですが(違う所を探してみてください)
フィンランド語は全く語源が異なります。
kuu は「月」という意味なので、その前の部分の意味を見ていきましょう。
1月 tammi はオーク(楢の木)のことですが、落葉樹だし冬の風物詩になるとは思えないんだけど~と首をひねっていたら、「芯」「真ん中」という意味もあるそうで、冬のど真ん中ということかと納得。
2月 helmi は真珠。雪の輝きを真珠に例えているのだとか。美しいですね~
3月 maalis は maa(大地、地面)から。雪が解けて地面が見えてくる季節。
4月 huhti は huhta(焼き畑)から来ています。フィンランドの古い農法で、それを始める季節だから。
5月は上で書いたので省略
6月 kesä は「夏」という意味なので夏月。夏至があるからでしょうね。
7月 heinä は「草」 草を刈って干し草を作る頃。
8月 elo は 「命」 最も生命に溢れる季節。「人生」「生活」という意味もあるようなので、life や Leben に相当する単語かと思われます。
9月 syys は syksy(秋)のこと。秋月。
10月は泥の月。loka は泥のことで、天候が悪くなり地面が泥だらけになる季節。
11月の marras はなんと「死」という意味。「死」には kuolema という単語もありますが marras はちょっと文語的表現。寒さが厳しく暗くなり、草木が枯れる季節。
12月 joulu はずばりクリスマスのこと。クリスマスを月の名前にしちゃうくらいだから、よっぽどクリスマスが大事なんですね~🔔
さて、ざっと見てみましたが、フィンランドの古き良き時代の情緒みたいなものが感じられるネーミングですね。
それに比べると日本語の1月2月というのは、合理的でわかりやすいけどなんだか味気ない気もします。
旧暦の味わい深い名前もぜひ憶えておきたいものです。
(というわけで併記してみました。)