フィンランド語独習ノート12ページ目 フィンランド国歌を聴いてみよう~所有接尾辞~
みなさんフィンランドの国歌聴いたことありますか?
‟Maamme” というタイトルで、YouTubeにもいっぱい動画が上がってますが、メタラーにお勧めの逸品を是非ご紹介したいと思います。
↑これを歌ってるのは、フィンランドの誇るシンフォニックメタルバンド、NIGHTWISHの初代ヴォーカリスト、ターヤ・トゥルネンです。
初めてNIGHTWISHを聴いた時は衝撃を受けましたね~。メタルとオペラがこんなにも合うものだとは思いもしませんでした!
残念ながらその時には彼女は既に脱退してしまっていたんですが・・・まあその話は後日改めてまた書くことにいたしましょう。
こちらは STRATOVARIUS のティモ・コティペルトが歌ってます。
何かのイベントですかね?
後ろの人たちも名のあるミュージシャンと見受けますが、よくわかりません(-_-;)
どちらも歌う前に ‟Maamme laulu” とアナウンスされているのが聞き取れます。
laulu は「歌」という意味です。「歌う」は laulaa
日本風に言うなら「国歌斉唱」って言ってる感じですかね?
このタイトルは「私たちの国」とか「我らが祖国」とか訳されます。
‟maa”(国)という名詞に「私たちの」という意味を表す語尾‟-mme” を付けて、「私たちの国」となるわけです。
フィンランド語では、名詞に誰の物かを表す語尾を付けて、1語だけで所有を表すことができるのです。
この語尾は所有接尾辞と言いまして、もちろん所有者が誰かによって人称変化します。
変化形は下記の通りです。
一人称単数 | 私の | -ni |
二人称単数 | あなたの | -si |
三人称単数 | 彼(女)の | -nsa, -nsä |
一人称複数 | 私たちの | -mme |
二人称複数 | あなたたちの | -tte |
三人称複数 | 彼(女)たちの | -nsa, -nsä |
三人称は単複同形ですから、そこんところは文脈で区別するしかないようです。
所有と言ったら所有代名詞なり所有冠詞なりを名詞の前に置くもんだとばっかり思ってましたが、こういう文法もあるんですね。
これもまたちょっと驚きのシステムですよね~
しかし実のところ、主語の属格形を名詞の前に置くという方法もありまして、その場合はこちらを使います。↓
英語の所有格 my, your, his, her, our, your, their に当たります。
(ドイツ語では所有冠詞というのを使うので、ここでは話がややこしくなるので省略)
一人称単数 | 私の | minun |
二人称単数 | あなたの | sinun |
三人称単数 | 彼(女)の | hänen |
一人称複数 | 私たちの | meidän |
二人称複数 | あなたたちの | teidän |
三人称複数 | 彼(女)たちの | heidän |
つまり、「私たちの国」と言いたいときには、meidän maa と言ってもいいし、maamme と言ってもいいわけですが、両方付けるのが正式なフィンランド語らしいのです。
ですから 本当は meidän maamme というのが正しいということになるわけですが、どっちかあれば意味は分かるのに両方付けるというのはいかにもめんどくさいですよね。
めんどくさいことはなるべくやりたくない、というのは人類共通の心理のようで(笑)フィンランド人も普段はどちらかは省略するそうです。
どちらを省略するかは場合によるのかもしれませんし、まだ私の知らない何か未知の法則があるのかもしれませんが、たいていは所有接尾辞オンリーの方が多いような気がします。
国歌のタイトルからしてそうですしね。
ちなみにジブリのあの名作『となりのトトロ』は、フィンランド語では ‟Naapurini Totoro” と訳されているそうです。
naapuri が「隣人」なので、「私のお隣さんトトロ」というわけですね。